どうも、みずきちです。
ポケポケにハマっています。
2024年10月30日に配信された『Pokémon Trading Card Game Pocket』通称ポケポケ。
ポケモンカードをアプリで楽しめるということで配信直後から大人気アプリになりました。
例に漏れずポケポケにもデイリーミッションがありますよね。難易度はそんなに高くなくすぐにクリアができるのですが、行動経済学、マーケティングの勉強になると感心したことがあったのでご紹介します。
ログインをするだけでミッションが進む

普段スマホアプリは全くやらないのですが、他のアプリもそうなのでしょうか?
ポケポケのデイリーミッションは3つこなす必要があります。たとえばカードパックをひく(1日2パック無料でひけるいわゆるガチャ)とか、ランダムなユーザーとバトルをするなどです。その中に「ログインをする」という項目があり、これはその日最初にアプリを起動した時点でクリアできます。
これはうまくできているなあ、と思いました。
3つのミッションのうち1つがクリアされるわけですから他もクリアしたくなりますよね。さらにバトルは負けてもいい上に勝率が出ませんから気にせずに遊べたり、なんなら毎日ひけるカードパックの2パックをひけばログインを含めてデイリーミッションはクリアとなるのです。
進めたい気持ちになり、簡単にクリアができてしまう。エンダウト・プログレス効果を利用しています。
エンダウト・プログレス効果とは

なにかをはじめるとき、ゼロからのスタートよりも少し進んでいるほうがそれを完了させるモチベーションが高まる、というものです。渡された時点でスタンプが1つ押されているポイントカードをもらってつい全て貯めてしまったことはないですか?これもエンダウト・プログレス効果によるものです。
この心理効果はジョセフ・C・ヌネスとザビエル・ドレーズという2人の行動経済学者が、2006年に論文で発表しました。
参考文献:Joseph Nunes,Xavier Dreze, “The Endowed Progress Effect: How Artificial Advancement Increases Effort”, Journal of Consumer Research, Vol. 32, March 2006
ポケポケのデイリーミッションも全く同じです。ログインをしたら既に途中までクリアしたミッションを渡されるのですから、進めたくなってしまいます。
そのまま熱中してしまって強いポケモンや可愛いポケモンを求めてハマってしまうわけです。僕はまんまとドハマリしました。
・ツァイガルニク効果
・目標勾配効果
・目標が達成できそうだという期待
この3点によってエンダウト・プログレス効果が発生するとされています。
ツァイガルニク効果
完了した物事よりも、途中になっていることのほうが意識され、記憶されやすいという心理効果です。
目標勾配効果
目標に近づけば近づくほど、達成のため一生懸命に努力や行動をする現象を目標勾配効果といいます。
期待
人は目標が到底達成できないものだと感じるとモチベーションが下がります。あらかじめ少し与えられることにより達成への期待が上がり、モチベーションが上がるのです。
エンダウト・プログレス効果の使い方

対象のモチベーションを上げることができるのですから、ビジネスシーンでも活用できそうです。もちろん既に活用されていますのでいくつか紹介します。
ポイントカード
先ほども例に出しましたが最もわかりやすい実例です。飲食店でポイントカードをもらうと、その日の会計分スタンプを押した状態でもらえることがあります。
実際はその分お金を使っているのですが、ポイントカードを手にして存在を意識したときには既にスタンプがいくつか押されているのです。心境は「はじめからスタンプが押されている」カードをもらったわけです。
ログインボーナス
ポケポケのデイリーミッションに近いかもしれませんが、ほとんどのソーシャルゲームにはログインボーナスがありますよね。ログインをするだけで毎日何らかのアイテムをもらえて、5日目とか10日目とかの節目にちょっとだけいいアイテムがもらえるアレです。
飽きてログインボーナスだけ貰っていたソーシャルゲームにふとしたときにまたハマった経験はないですか?離脱者を減らす、復帰を促す見事な施策だなあと思います。
今日こなせる業務をあえて明日にまわす
毎日仕事を終わらせてから帰る、というのは当然素晴らしいことです。でも翌日の仕事に手をつけるのが億劫なことはないですか?
そんなときは、すぐに終わる当日の業務をあえて翌日にまわすのはいかがでしょうか?
翌日出社をしてその仕事をこなしてしまいましょう。今日の仕事が少し進みました。昨日のあなたに進捗を与えてもらうことで、目標勾配効果を上手に活用しましょう。
ランクを設定する
ヌネス氏とドレーズ氏がおこなった面白い実験があります。酒屋でワインを10本購入すると1本プレゼントされる顧客と、100ポイントでワイン1本と交換できるポイント制を導入して1回の購入で10ポイントを与える顧客に分類をしました。その結果、ポイントを与えられる顧客のほうが熱心にワインを購入したのです。
どちらも10本の購入で1本プレゼントされるのは変わりません。それでもポイントが貯まっていくほうが目標に近づいていることが実感でき、モチベーションが上がったのです。
それと同じ効果を狙えるのが会員ランク制度です。一定期間の利用回数でシルバー会員、ゴールド会員などランク分けをして、より上位のランクには良いインセンティブを与えるのです。
あと〇〇でシルバー会員!と言われてしまえばシルバー会員を目指したくなりますよね。
終わりに
ポケポケのデイリーミッションという何気ないものですが、マーケティング戦略が関わっています。エンダウト・プログレス効果はモチベーションアップというポジティブな影響がありますから、ビジネスシーンでもプライベートでも取り入れていきましょう。
少しずつ目標に近づいていくのは楽しいことですよね。あなたが最終的な目標にたどり着くためのヒントになれば嬉しいです。
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