どうも、みずきちです。
ポケポケのオンライン対戦を楽しんでいると、納得がいかないことがあったりします。
先攻多ない?
ポケポケは後攻が圧倒的に有利であるとされています。コイントスで表が出れば先攻、裏が出れば後攻となるのですが、やたらと表ばかりが出ている気がします。
あともう一つ。
自分が使ったときだけカスミ裏ばっかり出てない?
カスミはリリース直後の環境トップクラスで強力なぶっ壊れカードです。裏が出るまでコイントスを繰り返して、表の数だけ水エネルギーを場のポケモンに付与することができます。場合によってはその時点で勝ちが確定することすらあります。
調べてみよう。
ということで表と裏は本当に2分の1なのかと、カスミの確率を調べてみました。
オフライン対戦を50回繰り返し、先攻と後攻の数とカスミで表が出た枚数を記録しました。確認していきましょう。
先攻と後攻の確率
早速ですが表を作りました。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | 7回目 | 8回目 | 9回目 | 10回目 |
後攻 | 先攻 | 後攻 | 先攻 | 先攻 | 後攻 | 先攻 | 先攻 | 先攻 | 後攻 |
11回目 | 12回目 | 13回目 | 14回目 | 15回目 | 16回目 | 17回目 | 18回目 | 19回目 | 20回目 |
後攻 | 後攻 | 後攻 | 先攻 | 先攻 | 先攻 | 後攻 | 先攻 | 先攻 | 先攻 |
21回目 | 22回目 | 23回目 | 24回目 | 25回目 | 26回目 | 27回目 | 28回目 | 29回目 | 30回目 |
後攻 | 先攻 | 後攻 | 後攻 | 後攻 | 後攻 | 先攻 | 先攻 | 後攻 | 先攻 |
31回目 | 32回目 | 33回目 | 34回目 | 35回目 | 36回目 | 37回目 | 38回目 | 39回目 | 40回目 |
先攻 | 先攻 | 後攻 | 後攻 | 後攻 | 先攻 | 後攻 | 後攻 | 後攻 | 先攻 |
41回目 | 42回目 | 43回目 | 44回目 | 45回目 | 46回目 | 47回目 | 48回目 | 49回目 | 50回目 |
先攻 | 後攻 | 後攻 | 後攻 | 先攻 | 後攻 | 先攻 | 先攻 | 後攻 | 先攻 |
先攻の回数 | 25回 | 後攻の回数 | 25回 |
僕自身意外な結果になっています。
なんと先攻25回、後攻25回と完全に50%だったのです。ある程度収束するだろうと50回にしましたがここまで綺麗に分かれるとは思っていませんでした。
先攻が続いたのは最大3回、後攻は連続で最大4回です。こちらもほとんど差はありません。
ではなぜ先攻が多いような気がするのでしょうか?
・少数の法則
・利用可能性ヒューリスティック
・代表性ヒューリスティック
・ギャンブラーの誤謬
の3つから解説していきます。
少数の法則

人は無意識のうちに少ないサンプル数の結果から、短絡的に結論付けてしまうというものです。
もともと統計学の基本的な考え方として大数の法則があります。試行回数を増やすほど結果は確率のとおりに収束しやすいというものです。
それを皮肉るように少数の法則の法則と名付けられたわけです。
たとえばコイントスで表が出る確率は50%だということは明白ですよね。
でも5回しかしていないと表1回、裏4回なんてことはざらに起こります。この少ないサンプル数をもとに確率を判断して信じ込んでしまうのは典型的な少数の法則の例だと言えるでしょう。
少数の法則はダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーという2人の心理学者が提唱しました。
利用可能性ヒューリスティック

ヒューリスティックとは、何かの事象に対しての意思決定や答えを出すにあたって経験則や記憶に基づいた解を出すという心理用語です。なんとなくで答えを出すので迅速な判断ができるかわりに間違っていることがあるのが特徴です。
簡単に言うと、最近起きたことや思い出しやすい印象的な出来事をもとに判断する、心理のショートカットのような機能です。
大きな災害や飛行機の墜落といった発生確率が著しく低いことがどこかで起きた直後に必要以上に不安になってしまうのは利用可能性ヒューリスティックの代表例の1つです。
コイントスの場合、確率は同じでも何度か連続で同じ面が続くと強烈に印象に残ります。それによって、表(先攻)ばかり出ていると感じてしまうのですね。
代表性ヒューリスティック

その事象がいわゆるステレオタイプに、典型的な例にどれだけ近いかで判断してしまう心理バイアスです。
複数回コイントスをしたとします。
①表裏裏表表裏裏表
②表表表表表表
③裏裏裏表表表裏裏表表
左から順に出た面だとして、どれが一番高い確率で発生しそうだと思いますか?
表と裏がまんべんなく出ている①と③だと感じた人は、見事に代表性ヒューリスティックの影響を受けています。
表が出る確率と裏が出る確率は同じ50%です。かつそれぞれの結果は独立しているため、過去の出た面は一切関係がありません。だからコイントスの回数が少ないほど発生確率が高くなります。ところがコイントスの結果として典型的な結果を過大評価し、判断してしまったということになります。
ギャンブラーの誤謬

代表性ヒューリスティックと関連してギャンブラーの誤謬というものがあります。
今回もコイントスで例えましょう。
5回連続で表が続いています。次に出るのはどちらの面でしょうか?
そう、人は次こそ裏が出ると思ってしまうのです。
代表性ヒューリスティックで解説したように、コイントスを連続でおこなってもそれぞれの結果に因果関係がなく、単純に確率は50%です。そのためいくら表が続いていようが、次に裏が出る確率も、続けて表が出る確率も等しく50%なのです。
「コイントスで表が続いているから今度こそ裏が出るだろう」
と思っているときに本当に裏が出る確率は50%ですから、当然50%の確率で期待は裏切られてしまいます。その結果、コイントスで先攻ばかり出る!と感じてしまうのです。
カスミについて考える
リリース直後の環境において最強のカードとはピカチュウexでもミュウツーexでもなくカスミだと思っています。コイツ1枚で戦況が決まることが少なくありません。
すべてを破壊しかねないカスミですが、相手が使うときはメチャクチャ強力なのに、自分が使うと裏ばかり出てまったく効果を発揮してくれない気がします。これもやはり先ほどの先攻・後攻と同じく少数の法則に引っかかっているのでしょうか?
調べた結果がこちらです。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | 7回目 | 8回目 | 9回目 | 10回目 |
5 | 0 | 3 | 1 | 1 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 |
11回目 | 12回目 | 13回目 | 14回目 | 15回目 | 16回目 | 17回目 | 18回目 | 19回目 | 20回目 |
0 | 2 | 2 | 2 | 6 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 |
21回目 | 22回目 | 23回目 | 24回目 | 25回目 | 26回目 | 27回目 | 28回目 | 29回目 | 30回目 |
1 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 8 |
31回目 | 32回目 | 33回目 | 34回目 | 35回目 | 36回目 | 37回目 | 38回目 | 39回目 | 40回目 |
0 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 4 | 0 | 0 |
41回目 | 42回目 | 43回目 | 44回目 | 45回目 | 46回目 | 47回目 | 48回目 | 49回目 | 50回目 |
0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 8 | 0 |
1回あたりの平均表枚数 | 1.48枚 | 表が0回の回数 | 20回 |
カスミ1回あたり、1.48枚の表が出るといった結果になりました。
0枚が20回、1枚が13回、2枚が8回です。
41/50が2枚以下なので、水エネルギーを3個以上フリーザーexにつけられてワンキルなんて現象は滅多に起こらないと言えます。
イメージほど水エネルギーをつけることはできないし、思っているよりも表が0にはならないことがわかりました。
まれに発生する6枚とか8枚とか不必要なほど大量に表が続く現象が強く印象に残っているせいでカスミがクソ強カードに感じるのですね。(メチャクチャ強いことには変わりませんが)
カスミに対する不満は0が複数回続くときがある、大量に表が出て強烈に印象に残るときがあるなど、それによって起こる錯覚だと考えていいでしょう。
最後に
先攻・後攻とカスミについて調査しました。結果はあなたの予想通りでしょうか?それともイメージと違いましたか?
錯覚は分かっていても起こってしまうもので、調査しているときですら裏ばっかりでるやん!と思ってしまいました。
サンプル数が少ない確率、もっといえば肌感覚は間違っている可能性がありますので注意しましょう。今回のようにゲームであればなんら問題はないですが、ビジネス上やプライベートの意思決定で間違うと大変なことになるときがあるかもしれません。
繰り返しになりますが錯覚は分かっていても逃れることができません。なぜ錯覚するのかを理解し、いま自分は錯覚しているのではないか?という視点を持つことで気付ける場面がたくさんあります。
ぜひ参考にしてくださいね。
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